家族療法 高校生 うつ 不登校 ひきこもり 希死念慮 夫婦関係
重度のうつで生死をさまよう状態だった高校生の娘が
自分のやりたい道をみつけて元気に飛び立っていった
近藤麻子さん（50才）
＜概要＞
娘に症状があって問題なのだから娘に受けさせようとしていたが、私事だと気づかされ母として家族療法に取り組んだ
今回ご紹介する症例は、重度のうつ状態と統合失調症のような症状が出て、自殺未遂を繰り返すようになられた高校生の娘さんが、元気に回復をして自分のやりたい道を見つけて飛び立っていかれるまでのストーリーです。
娘さんの回復をもたらしたのは、お母さまが「症状があるのは娘なんだから、これは娘の問題」「娘がＹＳメソッドを受ければどうにかなる」「娘に講座を受けさせようと必死になっていた」という状態から、娘さんの３度の自殺未遂を経て、「問題なのは娘じゃなくて、私の問題なんだ」と気づき、私事としてＹＳメソッドの家族支援プログラムに取り組まれたことでした。
プログラムでは、お母さまご自身のこと、表面的には仲良く見えていた夫婦の関係、それぞれの両親との関係に、徹底的に向き合っていかれました。そして、自分が「本当の自分」で生きて、自分自身が幸せになることが、家族と娘たちを健康で元気に幸せにしていくことなんだということに気づいていかれました。
その結果、娘さんのことを不安や心配ではなく、娘さんが自分らしくしている姿を、安心と信頼と喜びと感謝の気持ちで見守ることができるようになられました。 苦しむ娘を何とか救いたいという強い思いで、葛藤しながらも我が子と向き合ってこられたことが、ご自身の大きな心の転換とともに、娘さんの回復と家族全体の再生につながりました。その道のりをご覧ください。
＜ＹＳメソッド開始までの経過＞
◆不登校を経験した娘がうつ状態になり、自分を責めて泣き続ける毎日に
私には、18歳と16歳の2人の娘がいます。 長女は、小学校の頃、すごく明るく元気な子でしたが、中学校に入ってから3年間不登校になりました。次女は、小学校の時は行き渋りが多くて、中学校1年間は元気に学校に行けましたが、途中から不登校になって、2人とも中学は、ほぼ行っていません。 今回は、この長女が、ちょうど1年前に重度のうつ症状、それから統合失調症のような状態で生死をさまよっていた状態から回復した体験談をお話しさせていただきます。
長女は、今、18歳です。中学は3年間不登校でしたが、高校は普通の高校に入学して、とても元気に学校生活を送っていました。 2年生になって、進学の選択の時に体調を崩し、そのまま体が動かない状態になり、通信制高校に転校しました。 その後、ちょうど昨年4月ぐらいから、急に、「私はダメだ。何もできない。このままでは生きていけない」と言うようになり、うつ状態になりました。 泣き始めるとパニック状態になって、過呼吸になって、呼吸が止まって、意識がない状態になることが毎日続き始めました。夜は眠れなくなり、昼間寝ている自分を責めて、症状が悪化していく一方でした。
◆「死にたい」と悪化する娘を前に、どうすることもできずお手上げ状態だった
実は私は、結婚前は幼稚園で勤めていまして、両親とも教育者でした。 現在は、子育て中のお母さんを中心に、恥ずかしながらメンタルカウンセラーをしています。9年前に夫がパニック障害になって、心の勉強を始めて、地域のお母さん方の子育て講座などをやり始めていました。 ですので、 不登校、ひきこもりのご家族、パニックになる子どもの扱いというのは、経験値としては普通の方よりも大丈夫なはずでしたし、 逆に相談を受ける立場でしたので、自信がありました。
でも、我が子は違いました。まったくどうしていいかわかりませんでした。 子どもが明るく元気に育つことを願って一生懸命大切に育てきた娘が、逆にどんどん具合悪くなっていく。もう1人では部屋から出られず、食事も家族と一緒に食べられない。体力が消耗して、毎日食事を部屋に運ぶ。辛うじて夜中に1回トイレに行くんですけども、その足音がゾンビが歩いているような床を擦って歩く音で、それを毎日聞いていました。 娘は、「何かが追いかけてくる、私はダメだ、ダメだっていう声がする」と叫んでいました。
これは私にとってすごく衝撃的な事実で、本当にどうすることもできなくて、本当にお手上げ状態でした。寄り添おうと思って一生懸命話を聞いても、「ママは何もわかってない。もうすぐそうやって決めつける。この家には愛がない」そう言われました。
助けよう、救ってあげようと思って、やれることを片っ端からやりましたけれど、「誰も助けてくれない。生きていてもしょうがない。孤独だ。死にたい、死にたい。死にたくても死ねないから、死んでもいいよって言って」と、泣きながらお願いされる毎日でした。 命をかけて産んだ娘から死にたいと言われるほど悲しくて辛いことは本当にありませんでした。こんなに苦しいのなら、いっそのことこの子と一緒に死のうかと何度も思いました。
◆ありとあらゆるセラピー・治療方法を試したが、まったく良くならなかった
職業柄、病院で治療しても、薬を処方してもらって治るものではないということはわかっていました。できれば薬に頼りたくない。 精神科に行くと薬をたくさん処方されてしまうという恐怖と不安がありました。
でも、目の前でこんなにも苦しんで衰弱していく娘を目の前にして、とにかく何でもいいから、この子を早くこの苦しさから救ってあげたい、助けたい、元気にさせたい、生きててほしい。そんな思いから、 ありとあらゆることをしました。あっちのセラピー、こっちのセラピーと連れていって、いいと思われるものでいろんなことを試しましたが、まったく良くなりません。
そして、ある信頼する友人に相談したところ、ＹＳこころのクリニックを紹介されました。 ホームページを読み、基礎講座の動画を見まくりました。薬に頼らない治療法と、そして何よりも寛解率に驚きました。 かなり怪しかったですが、もう本当に宗教っぽいなとも思いましたけれど、娘を救えるならまずは試してみよう、そんな思いでクリニックに連絡したのを覚えています。
しかし、東京から離れたところに住んでいる私たちですので、ゾンビの状態の娘を連れて飛行機に乗ることは難しい状態でした。 その時の私は、娘に症状があるので、娘が苦しいんだから、娘をどうにか助けたい、 娘に良い治療をという思いで、娘に問題があることに焦点がありました。 それで、クリニックの先生と相談をしながら、 一時的に薬の力を借りて、娘を無理やり抱えるように車椅子に乗せ、引きずりながら、東京のＹＳこころのクリニックに行きました。
＜ＹＳメソッドに取り組んだ結果＞
◆受講して奇跡のように元気になったのに、リストカットが始まった
ＹＳメソッドを娘に受けさせるためになんとか東京まで来ましたが、でも、結局、娘の体力が続かなくて、初回の講座は、娘はホテルに置いて、私だけが受けました。 「せっかく東京まで来たんだから、とにかく娘にカリキュラムを受けさせたい」という必死の思いでホテルを連泊して、 娘の体力が戻るのを待って、ようやく2人で講座を受けることができました。
その結果、娘は回復し、奇跡が起こったように目の色が変わって、生き返ったように元気な娘になりました。
私は、驚きと嬉しさと、とてつもない安心感で、もう信じられない思いで、娘と家に帰ってきました。
「もう大丈夫。あとはもう、私自身が本来の自分で生きられるようにＹＳメソッドのカリキュラムをやっていけばいいんだな」と思っていた矢先、娘のリストカットが始まりました。
講座を受けたのに、せっかく回復したのにどうして、と思う間もなく、どんどん娘の状態が悪くなっていきました。 毎日「死にたい、死にたい」と言い、私に「出てって」と私を拒否し、1人で部屋にこもって布団の中で泣きながら、お風呂にも入れず、気分のいい時は私に「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返し、見張っていないといつ窓から飛び降りるかわからない。いつも耳をそばだてて、朝も昼も夜も生きた心地がしませんでした。 そしてある日、残っていた大量の薬を飲んで自殺を図りました。そして救急車で病院に運びました。 死にたくなって、森の中に消えていくこともありました。そして、隠してあったはずの薬をどうしてか見つけ出して、前回の3倍の薬を飲んで、3回目の自殺未遂をしました。
◆3回の自殺未遂でやっと気づけた。問題なのは娘じゃない。私の問題なんだ。
ここでやっと、「私は一体何をやっているんだろう」ということに気づきました。 そこまでは、とにかく娘がＹＳメソッドを受ければ回復する、どうにかなると、必死に講座を受けさせようとしていました。娘にオンラインの講座を受けさせようと予約するのですが、当日になると娘は具合が悪くなってキャンセル続きで、ことごとく受けられない状態でした。 でも、問題なのは娘じゃなくて、娘に問題があると思っている私に問題があるんだということを、その時に、本気で、私事として、受け止められるようになりました。
そこで私は、昨年11月にＹＳメソッドのひきこもり家族支援プログラムに参加しました。 そこでカウンセラーから、「急所は夫婦関係です。お子さんがいくらＹＳメソッドに取り組んで回復したとしても、また同じ家庭環境に戻ることで、お子さんは症状が戻ってしまいます。根本原因を解決しなければ、同じことの繰り返しで回復はしませんよ」と聞いて、もう一度目が覚めました。
背水の陣でもう一度、最初から、私自身のこと、そして表面的には仲良く見えていた私たちの夫婦関係、そしてそれぞれの両親との関係に、徹底的に向き合いました。 そして、さまざまな教えだとか、常識だとか、教育だとか、こうあるべきという私の心の深くに根強く残る、私の心に染み込んだ信念とか執着や価値観に気づいていきました。 自分が本来持っている「本当の自分」を引き出して、「本当の自分」で生きるということ、そして何より私自身が幸せになるということ、それがまわりの家族、娘たちを健康で元気に幸せにしていくことなんだということを確信しました。
◆ギスギス家族がニコニコ家族になり、娘はやりたい道へ元気に飛び立った
そして、今月で、娘がうつになってからちょうど1年になります。 ギスギスした雰囲気だった我が家は、今、家族がリビングでニコニコしています。
少し時間がかかってしまいましたが、娘は、自分自身で自分のやりたいことを見つけて、自分で決めて、自分で手配して、自分のやりたい道へ、あっという間に飛び立っていきました。 たまに体調が優れない部分もあるようですが、飛び立つ前日に、「ママ、うつ病になってよかったわぁ！ 180度性格が変わったわぁ！」と言い放って、飛び立っていきました。 あっけにとられるほど軽やかに、そして楽しそうに、たくさんの人の中でサポートを受けて生き生きしている姿を、毎日、娘のインスタグラムをポチポチしながら、ニタニタしながら見ています。
◆安心と信頼と喜びと感謝の気持ちで娘を見守ることができるようになった
今、私自身の心が、不安や心配ではなく、娘が娘らしくしている姿を、安心と信頼と喜びと感謝の気持ちで見守ることができている状態です。
そして、自分自身も本当にやりたいことに許可が出て、 思いもよらない新しいステージの挑戦を始められるようになりました。 これからの長い人生の中で、すべて良いことしか起こらないということはないと思います。 さまざまな困難や逆境が訪れても、それを娘は乗り越えられる力があると思える私がいます。 まさかこうして体験談をお話しする日が来るとは想像できなかった私ですが、これから何が起きてもそのままで大丈夫と思える自分、先々と口や手を出さずに、見守り、サポートしてあげられる母でいたいなと思います。 ありがとうございました。
